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人魚の涙(原作:倉橋由美子)

昔、深い海の底に人魚の王様が住んでいました。
從前從前,在深邃的海底住著一位人魚國王。

人魚の王様には六人の姫がありました。
人魚國王有六個女兒。

みな綺麗な人魚たちでしたが、わけても末の姫はひときわ美しい人魚で、
每一位都是美麗的人魚公主,特別是最小的公主長得更是美若天仙

目は深い海の色そのままの深い青に澄み、胸から頭にかけて鱗の形も一枚一枚見事に整い、妖しいほどの光沢を放っていました。
眼睛就像海水般沁藍清徹,胸前到頭部的鱗片,片片光滑伏貼、綿密完整,煥發出一股妖異的光芒。

その上姉たちとは違って、人魚には珍しくお臍が見え、その下に伸びる脚も長くて格好がいいので、
與上面的姐姐們不同,她有著對人魚來說極為罕見的肚臍眼,向下延伸的則是修長、纖細的雙腿,

どんな人間の娘も敵うまいと思われるほどでした。
是任何人類的女孩子都不能匹敵的。

ただ、この末の姫は内気で考え深い性で、よく瞑想にふけっていました。
可是,這位小公主沉默寡言、多愁善感,常常沉溺於自我幻想中。

もっとも、魚の目は閉じるということがないので、そんな時も姫の目は見開かれたままで、ただ目の中に金色の光が点るのでしたが。
由於人魚的眼睛是不會閉上的,所以當小公主沉溺於自我幻想時,她的眼睛雖是張開著的卻閃爍著金色的光芒。

人魚姫たちにとって最大の楽しみはお祖母様から海の外の人間の世界の話を聞くことでした。
對人魚公主們來說最快樂的事莫過於聽奶奶說起大海以外人類世界的故事。

「お前たちが十八になったら、海の上に浮かんで船や人間を見るのを許してあげますよ」とお祖母様は言いました。
奶奶與人魚公主們說:「等你們年滿十八歲就允許你們浮出海面去看看船還有人類哦。」

その話の中でもとりわけ不思議に思われたのは、海の外の地上の世界では美しい花がよい香りを放って咲き乱れていることや、
在奶奶的談話中最讓人魚公主們覺得不可思議的是:在海洋以外的大地世界中有著飄放出各種迷人香氣的美麗花朵

可憐な声で歌う「魚」が風の中を泳ぎまわっていることでした。
還有總是唱著楚楚動人的歌聲浮游於風中的「魚」。

また海の底からは見ることができない「夜の太陽」があって、
和在海底不曾見過的「夜裡的太陽」

岩に上がった人魚の体をその銀色の光で濡らすというのも想像を超えて神秘的なことでした。
「夜裡的太陽」將會撒下銀白色的夜光,將坐在岩石上的人魚照得全身一閃一閃地…這全都是超乎人魚公主們的想像充滿神祕的未知事物。
やがて一番上の姫が十八になって海の上に浮かび上がってもいいという許しが出ました。
終於,人魚公主中的大公主年滿18歲,可以浮出海面去瞧瞧外頭的世界了。

人魚のお祖母様はみんなの前でこの姫に、くれぐれも人間に見られないようにと注意しました。
奶奶將大公主叫到大家的面前,千叮嚀萬交待要她一定得小心注意可別讓人類給瞧見了。

人魚を見た人間の身にはかならず禍いがふりかかるからだというのでした。
凡是見到人魚的人類可是會遭遇大災難的!

一番上の姫が帰ってきた時、ほかの姫たちは夢中になって話を聞きました。
大公主遊歴回來後,其他的人魚公主們興奮地聽著大公主訴說她的所見所聞。

末の姫は誰よりも熱心に耳を傾けました。
尤其是那最小的人魚公主,她可是比誰都還要更專注地聆聽大公主說話。

月の明るい夜に海辺の砂の上に座って月の光に鱗を濡らしながら
在月光如斗的夜晚,坐在海灘上一面讓月光輕拂全身的鱗羽

町の何百という明かりがまたたくのを眺めたり、
一面遙望著城裡那成千上萬的閃爍燈光

昼間岩かげに身を隠して町の教会から聞こえてくる音楽や鐘の音に胸を躍らせたり、
白天躲在石頭後邊聽著從城裡教會傳來陣陣悅耳的音樂與浩瀚的鐘聲,心頭為之雀躍

森に近づいてよい香りのする花や歌う「魚」の飛びかうのを眺めたりした話を聞くにつけても、
走近森林,那裡有著飄來陣陣花香的花兒,仰頭還可以看見哼著曲調的「魚兒」交錯飛躍在漫空中…

この末の姫は、自分が海の上に出ることを許されるまでにまだ五年もあることを思って気も狂わんばかりでした。
小公主聽著大姐姐的描述,一想起自己要離開大海還得再等上五年的時間,就覺得自己好像快要瘋掉似的。

次の年には二番目の姫が十八になり、許されて海の上に浮かびました。
第二年,人魚二公主滿了18歲,也可以浮出海面去見識見識外頭的世界了。

そして三番目、四番目、五番目と続いて、いよいよあと一年で末の姫の番がやってくることになりましたが、
接著三公主、四公主、五公主、終於,再一年就要輪到小人魚公主囉…

姫はその一年がどうしても待ち切れず、とうとうある日、無断で海面近くまで浮かび上がっていきました。
可是小人魚公主在這最後一年裡卻怎麼也等不及,終於有一天,沒有經過允許就私自往海面游去…

波の間に頭を出してみると、ちょうど日が沈むところで、
待小人魚公主將頭探出海面已是夕陽西下時

空は薔薇色に染まり、金色の雲が輝いていました。
整個天際都泛上玫瑰色彩,金色的雲朵閃閃發出光芒。

そしてすぐ目の前には、三本マストの船が浮かんでいました。
眼前不遠處正駛來三艘架著帆布的大船。

やがて夕闇が濃くなると、色とりどりの提灯に火がともされ、
由於天色漸轉昏暗,船中點起了一盞盞五顏六色的燈籠

船の中からは賑やかな音楽と歌声が聞えてきました。
隱約可以聽見從船的那頭傳來陣陣熱鬧的音樂聲與優美的歌聲。

人魚姫は船に泳ぎ寄って、船室の窓から中をのぞいてみました。
小人魚公主禁不住好奇,悄悄地游近船邊,偷偷地從船艙旁的窗口處窺探船中的一切。

美しく着飾った人たちが大勢見えます。
她看到了好多穿戴著高貴華麗衣飾的人們。

その中でもひときわ目立って美しく気品のある青年は若い王子様で、
他們正圍簇著英俊瀟灑、玉樹臨風的王子殿下

ちょうどこの日に誕生日を迎えて、今お祝いの宴会が始まったところでした。
原來今天正是王子的生日,他們正要幫王子舉辦慶生晚宴呢!

王子様の髪は海の底では見られない金色に波打ち、目は海の色と同じ深い青に澄んでいます。
王子有著小人魚公主在海底不曾見過的金黃色如稻穗般的美麗頭髮、猶如大海一般沁藍清徹的雙眼

人魚姫は我を忘れて王子様に見入りました。
望著如此俊俏的王子,小人魚公主不禁看得如痴如醉、渾然忘我。

自分もできることなら人間になって、それも美しい娘になって、着飾った人々の間で暮らし、
如果可以,多想變成人類,成為漂亮的姑娘,和穿著華麗衣裳的人們一起生活

あのように王子様と踊ったりすることができたらどんなに素晴らしいだろう、
像她們那樣與王子殿下一起共舞的話那該有多好呀!

という思いが募るにつれて、人魚の身であることも忘れ
沉醉在美麗幻想中的小人魚公主完全忘了自己是人魚的事實

窓に顔を押しつけるようにして船室の中をのぞきこみました。
整個臉都像要貼上窗口似饑渴地窺探著船艙裡的一切。

その時、王子様と目が合ったのです。
就在此時此刻,王子與人魚公主目光交會了…

王子様は何やら叫び、音楽は止まり、人々は凍りついた顔で一斉にこちらを見ました。
看到人魚公主的王子不自覺地驚叫出聲,於是音樂停止了,所有人都寒著臉往人魚公主望去

突然、船が大きく揺れ、灯も消えて悲鳴が起こりました。
突然之間,船身劇烈搖晃,船上的燈光熄滅了,一時之間哀嚎聲四起

いつのまにか嵐が来ていたのでした。
不知何時狂風暴雨已襲捲而來…

人魚姫はお祖母様の戒めを破って自分の魚の顔を人間に見られたために禍いがやってきたのだと悟りましたが、
人魚公主乍然驚覺自己違背了奶奶再三的訓戒,看到人魚的人可是要遭逢大禍的呀!

もうどうすることもできませんでした。
只是大錯已鑄,怎樣也無法挽回了…

恐ろしい稲妻と雷鳴の中で船は波に揉まれて、あっというまにばらばらに砕けて沈んでしまいました。
就在天地也為之變色的雷雨交擊下,船身頓時支離破碎,沉沒於洶湧的浪濤中

人魚姫は王子様だけはお助けしようと、気を失った王子様を波の上に押し上げて泳ぎました。
人魚公主趕忙游向陷入昏迷的王子並將他救起

明け方、嵐は収まりました。
黎明破曉時,暴風雨終於過去

人魚姫は王子様を砂浜に寝かせて介抱しようとしましたが、
人魚公主正要讓王子躺在沙灘上,自己好來照顧他時

ふと気がつくと、王子様のおなかの下に硬く尖った肉の塔が立っていました。
忽然發現王子的腹部下方有塊肌肉正逐漸變硬突起

人魚姫は本能の声にそそのかされて、その余分なものを自分の体の足りないところに収めてみました。
在本能的反應下,人魚公主將那多出來的部份放入自己身體感覺欠缺的地方

それは大層ぴったりと合いました。
想不到竟然會那麼地合適簡直就是天造地設…

そうやっていると、自分が人魚であることも忘れ、
這種感覺幾乎教人魚公主忘了自己是條人魚

体が中から熱くなり、人間に変わっていくような気さえするのでした。
從體內發出的陣陣熱潮,讓人魚公主感覺自己就要變成人類了…

朝日を浴びた王子様の頬に赤みがさしてきたように思われました。
和煦地朝陽將王子的臉龐照得通紅

人魚はいつまでも王子様と結ばれたままでいたかったのですが、
人魚公主多想就這樣子依偎著王子直到永遠

意識が戻った時この自分の醜い上半身を見られることを思うと、愕然として立ち上がりました。
待她回過神來愕然失色地驚覺若再不抽身離開,王子將會看到自己那醜陋的上半身

そして泣きながら海の底へ帰っていきました。
於是人魚公主只好淚眼汪汪、依依不捨地離開王子,往大海深處游去…

人魚姫は姉たちにこの冒険のことを話しましたが、
人魚公主回到家後,向姐姐們述說了這段冒險故事

ただ一つ、王子様に最後にしたことだけはどうしても口に出せませんでした。
只是關於最後自己與王子發生的事情,怎麼也無法說出口。

それに自分の本当の気持ち、つまり今は姉たちも親も棄て、
而且她生起了離開姐姐們、離開家人的念頭

人魚の世界を棄てて人間になりたいという気持ちについてはなおさらのことでした。
捨棄人魚世界變成人類的想法日趨強烈

末の人魚姫はますます無口になり、
漸漸地小人魚公主愈來愈沉默

一人で何かを思いつめていることが多くなりました。
總是一個人呆滯地陷入沉思

ある日、人魚姫はとうとう決心を固めて海の魔女のところを訪ねました。
有一天,人魚公主終於下定了決心去拜訪海魔女。

魔女は渦巻きの下の、人間の白骨や船の破片が散らばる暗い海底に住んでいましたが、
海魔女住在黑暗大海的漩渦底下,住處四周全佈滿了因沉船而不幸罹難的人類骸骨與支離破碎的船隻碎片。

人魚姫の顔を見るなり言いました。
海魔女一看到人魚公主不等公主開口就與她說:

「お前の望みはちゃんとわかっているよ。
妳的心願我完全明白哦!

お前は人間と交わったね。
妳已經與人類發生關係了吧!

そうしてその魚の頭や胸の代りに人間の女の長い髪や細い腕やふくらんだ乳房が欲しいというわけだろう」
所以妳希望將妳那醜陋地人魚的頭,還有那佈滿鱗片的可怕胸脯換成人類女孩細長的頭髮、纖細的手腕以及豐滿的乳房是吧?

「その通りですわ。どうか私の望みを叶えて下さいまし。どんなお礼でも差し上げます」
「是的。請您務必幫我達成心願。不論要我怎樣回報您我都願意。」

魔女は不気味な笑いを浮かべてうなずくと、
海魔女露出詭異的笑容答應了人魚公主的請求

それでは人魚の不死の魂をもらうことにしようと言いました。
但她的條件卻是要取走人魚公主長生不死的靈魂

人魚姫は人間の娘になってあの王子様のそばへ行くことさえできたらいつ死んでもいいと思いましたので、
人魚公主只要能變成人類待在王子的身邊,要她什麼時後死她都願意

即座にこの条件を承知しました。
所以不加思索地就應允了海魔女提出的條件

「いいかい、これでお前は人間並みに死ぬ身となる。
「那好,妳將與人類一樣會袞老、會死亡

でも、万一あの王子がお前を自分の命よりも愛してくれたなら、
不過,萬一那個王子愛妳更勝於自己的生命的話

その時はお前はまた永遠の魂を手に入れることになる。
我就再將長生不死的靈魂還給妳

だがもしも王子がお前を棄ててほかの女を愛するようになったら、
只是,倘若王子丟棄了妳,移情別戀的話

その時はお前の体はまた人魚に戻り、やがて死んで泡になる」
那時妳就會變回人魚之身,然後化作泡沫消失於海面…」

魔女はそう言ってから、鍋の中で煮立てた魔法の薬を人魚姫にくれました。
海魔女說完這些話後就將鍋中才煮好的魔法之葯交給人魚公主。

その薬を飲むと、鱗は光を失って泥のように剥げ落ち、
人魚公主服下葯後,身上的鱗片猶如泥土一般一片一片地剝落了下來

人魚姫の上半身はみるみる若い娘のものに変わりました。
轉眼之間,人魚公主的上半身已如同年輕少女一般。

人魚姫はまっすぐにいつかの浜へと泳いでいきました。
人魚公主迫不急待地就往與王子邂逅的那片沙灘游去。

そこで待っていると、やがて黄昏時に、
在那兒痴痴等待王子出現的人魚公主,終於在黃昏時

物思わしげな顔をした王子様が王宮から一人で散歩に出で、この浜の方へやってきました。
看到王子一臉憂鬱地獨自一人從王宮朝沙灘的方向走來。

王子様の頭には嵐の夜に自分を助けてくれた娘のことがおぼろげに残っていて、
王子的腦海裡還朦朧地記得暴風雨那夜救自己一命的女孩

この浜に来ればいつかまたその娘に会えるかもしれないと思っていたのでした。
他想,到這片沙灘來的話,或許有天還能再遇見那個女孩子

それが、目の前に金色の夕日を浴びて裸の娘が立っているのを見て王子様は驚きました。
王子驚訝地看著站在他眼前這名全身赤裸在金色陽光照耀下的女孩

そして人魚姫を抱きしめながら、「君だったんだね、僕を助けてくれたのは」と叫びました。
他激動地抱起人魚公主大喊著「是妳吧!救起我的人就是妳對吧!」

それから二人が最初にしたことはあの嵐が去った朝の時と同じことで、
然後他們倆人第一件做的事就是與暴風雨過去的那天早晨同樣的事

王子様は夢うつつの記憶の霧がいっぺんに晴れ上がったような気がして、
在此同時,本來王子腦海裡還分不太清楚是現實還是夢境的迷離記憶彷若撥雲見日般地清晰浮現。

この娘こそあの時の娘だということをもはや疑いませんでした。
他確信眼前這名女孩正是那夜救起他的女子。

王子様は人魚姫を連れて宮殿に帰ると、早速煌びやかな着物を着せ、
王子將人魚公主帶回王宮後,趕緊拿出漂亮華麗的衣裳讓人魚公主穿上

同じ寝室で人魚姫と暮らすようになりました。
並讓她與自己住在同一間房間裡共同生活。

ところが、皮肉なことに、人魚姫はもとが人魚ですから、
但很諷刺的是,人魚公主本來就是人魚

着飾って大勢の人の集まる宮殿で踊ったり談笑たりすることは得意ではなく、
對於穿上漂亮的衣服,穿梭在人群間載歌載舞、談笑風生的事情並不擅長

そので自然、憧れていたきらびやかな着物を身にまとうよりも、
正因如此,比起穿上那曾經煞是憧憬的美麗衣裳

人魚の時のままの裸で王子様と抱き合っていることが多かったのです。
她更喜歡維持人魚時,光著身子的模樣,依偎在王子的懷中

王子様のそういう生活ぶりがやがて父王やお妃の心痛の種になり、
王子如此荒誕不經的生活,終於在國王、王后的心頭裡埋下心痛之種

また重臣たちの顰蹙を買うようになって、
也招來了滿朝重臣的輕篾鄙夷

宮廷では王子様のために立派な花嫁を迎える話が進められました。
於是王宮中蘊釀出要幫王子迎娶端莊嫻淑的新娘的薦言

そして海の向こうの国の美しい王女様が花嫁と決まりました。
並且決定新娘的人選就是對岸王國裡的美麗公主。

王子様はもともと命の恩人である「漁師の娘」(ということに人魚姫はなっていたのです)と結婚する気はありませんでしたが、
王子本來就無意與救命恩人的「漁家少女」(也就是人魚公主)結婚

お妃を迎えたからといって追い出すつもりもありませんでした。
卻也沒有因為要迎娶妃子而把人魚公主趕走的打算

美しい王女様を一見見るなり王子様はすっかり夢中になり、
王子對美麗的鄰國公主一見鍾情

まもなく盛大な婚儀が行われた。
很快地就決定要舉行盛大的結婚典禮

人魚姫は自分が人間でいられるのも僅かしかないことを知りました。
人魚公主知道自己還能維持人類形貌的日子已經沒有幾天了

婚礼の晩、人魚姫は自分から海にはいっていきました。
婚禮當天晚上,人魚公主獨自一人孤伶伶地走進海裡

月の光を浴びて泳いでいくうちに、魔女が言った通り、
月光照耀下,一步步走入海中的她就像海魔女預言的那樣

胸にも背中にも鱗が生え、頭は元通りに魚の頭に戻りました。
胸部、背部長出一片片的魚鱗,頭部也變回原來人魚的模樣了。

ところが、そこへ賑やかな音楽と花嫁花婿たちを乗せた船がやってきました。
海的另一頭正駛來載著新郎新娘,演奏著熱鬧樂章的輪船

人魚姫はいつかのように船室をのぞきこみました。
人魚公主不禁又像當初那般,從窗口偷看船艙裡的王子

するとそのあとはいつかと同じような禍いが起こり、
頃刻之間,災難又發生了

船は嵐の中で砕けて沈んでしまいました。
驟然襲來的暴風雨將船打入海裡,船身跟著支離破碎

人魚姫は今度は王子様を抱いたまま、海底深く沈んでいきました。
這一次,人魚公主就這麼地抱著王子沉入了海中…

恐ろしい渦巻に巻き込まれて気を失ったようでしたが、
被捲入可怕漩渦而失去意識的人魚公主

気がつくとそこは海の魔女の棲処でした。
醒來時發現自己竟然身處於海魔女的居所

魔女は呆れたように人魚姫を見つめ、まだ何か望みがあるのかと尋ねました。
海魔女似乎呆望著人魚公主許久了,她問人魚公主是否還有什麼心願

「この王子様を私を一つの体にして、死ぬまで一緒に暮らせるようにしてくださいまし。
「請將我與王子殿下的身體融在一起吧! 讓我與王子至死都能在一起

残った半分ずつの体は差し上げますわ」
剩下的各半邊身體,我願奉獻給您」

魔女は、それなら悪い取引でもないと思いました。
海魔女覺得這是個不錯的交易

王子様の立派な男らしい下半身は魔女としても欲しいものでした。
對她來說,王子那雄偉的下半身可是不可多得的好物

そこで魔女は王子様の上半身に人魚姫の、人間の女と同じ形をした下半身をつなぎ合わせました。
於是她便將王子的上半身與人魚公主那跟女人構造相同的下半身接合在一起

さて、人々は王子様の奇跡の生還を喜びました。
對於王子奇蹟似的生還,王國裡舉國歡騰

王子様はやがて年老いた父王に代わって王様になり、立派に国を治めましたが、
不久後,王子便繼承王位,代替年老的父王治理國家,並將國家治理得有聲有色

一生お妃を迎えようとはしませんでした。その訳は誰も知りません。
只是王子終其一生卻都沒有再迎娶妃子,這其中的原因誰也不知道

幸せであったかどうかもほかの人にはわかりません。
所以也沒有人知道王子他到底幸福不幸福

王子様の体の下半身は人魚姫のもので、魂は別々で、
由於王子的下半身是人魚公主的,所以他的身體裡同時住著二個靈魂

つながった体の中で魂同士話をすることができました。
而這二個靈魂間是能夠相互交談的

ただ、人魚姫の要求があると王子様はその手を使って人魚姫の一番女らしいところを慰めることはできましたが、
所以當人魚公主有所需求時,王子便用他的手撫慰著人魚公主她那最像女孩子的地方

人魚姫には王子様にお返しをするすべがありませんでした。
只是人魚公主卻無法回應王子的需要

人魚姫のその部分は王子様の手で慰められると、
每當王子用手滿足人魚公主的需求時

歓びのしるしか悲しみのしるしか、涙をこぼし、涙はすぐに固まって真珠になりました。
那不知到底是歡愉還是悲傷的眼淚就這麼地掉落下來,凝結成珍珠。

だから、王子様の寝台にはいつも真珠が溢れていたということです。
於是,在王子的床上總是散落著數不盡的珍珠…



教訓:人は下半身には恋しないものです。
教訓:人不該過度迷戀下半身…