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「大将、雨でも行かなくちゃだからな」
「は~あ~~~」
「相合傘で行こうか。どうだ、これで少しでもやる気が出そう?」
「ぜーひーもーなーいーなー」
「おいおい、誰の真似さ」
「ん~んん~~⋯⋯」
「傘をさしてやるからさ」
「いや、いいよ⋯⋯。あたしが持つよ」
「そう?俺がさしてあげたら喜ぶかと思ったけど」
「あたしの方が背が高いから⋯⋯」
「そんなに差があるわけでもないし、俺は別にいいぜ?」
「高く持つと腕疲れるからー。バランスも悪いし。いいの、あたしが持つのー。ほれ、行くぞ⋯⋯」
「うーん⋯⋯うん。たまにはこういうのもいいね。大将はやる気がないくせに、今回は俺が得するのか」
「大好きだからねー。好かれてる方が得するもんなー」
「ははっ、そう言われるとな、反論ができんな。うん、俺は果報者だ」
「何よ。そこは、俺も大好きだって、言えばよかったのにぃ」
「俺ももちろん、大好きだぜ?」
「ふーんだ」
「おっと、肩濡れてるぞ」
「⋯⋯別に、ないない」
「優しい優しい俺の大将、俺は大好きだぜ?」
「⋯⋯何が言いたいんだよ」
「言葉そのままさ。もっとこっち寄れ」
「ちょっ、そんな抱いたらあんたの手が濡れるでしょう。少しだけだから、別にいいよ」
「大将の肩より、俺の手はどうでもいいからさ。手袋もあるし」
「てゆーか、濡れないし。ないない⋯⋯」
「強情だな。これも、体を冷やさないように、な?」
「は~あ~~~」