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4227 【三形沙彌贈左大臣歌。】
 大殿之 此迴之 雪莫踏禰 數毛 不零雪曾 山耳爾 零之雪曾 由米緣勿 人哉 莫履禰 雪者
 大殿(おほとの)の 此迴(このもとほり)の 雪莫踏(ゆきなふ)みそね 屢(しばしば)も 降(ふ)らぬ雪(ゆき)そ 山(やま)のみに 降(ふ)りし雪(ゆき)そ 努寄(ゆめよ)る莫(な) 人(ひと)や 莫踏(なふ)みそね 雪(ゆき)は
 北卿大殿之 緣際周遭此迴間 所以積雪願莫踏 其雪非常有 亦非屢屢可降也 為在深山中 方得易遇零雪也 願人切莫輙近之 願勿輙踏此雪矣
三形沙彌 4227


4228 反歌一首 【承前。】
 有都都毛 御見多麻波牟曾 大殿乃 此母等保里能 雪奈布美曾禰 在(あり)つつも 見(め)し給(たま)はむそ 大殿(おほとの)の 此迴(このもとほり)の 雪莫踏(ゆきなふ)みそね
 願能留此景 得以久觀常翫矣 由衷有所願 北卿大殿此迴間 積降零雪莫踏之
三形沙彌 4228
 右二首歌者,三形沙彌承贈左大臣藤原北卿之語作誦之也。聞之傳者,笠朝臣子君。復後傳讀者,越中國掾久米朝臣廣繩是也。



4229 天平勝寶三年
 新 年之初者 彌年爾 雪踏平之 常如此爾毛我
 新(あらた)しき 年初(としのはじめ)は 彌年(いやとし)に 雪踏平(ゆきふみなら)し 常如是(つねかく)に欲得(もが)
 一元更復始 紫氣東來萬象新 每逢新年初 踏平積雪迎春暖 欲得歲歲常如是
大伴家持 4229
 右一首歌者,正月二日,守館集宴。於時,零雪殊多,積有四尺焉。即主人大伴宿禰家持作此歌也。