1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
2315 【承前,四首第四。】
 足引 山道不知 白柯杙 枝母等乎乎爾 雪落者【或云、枝毛多和多和。】
 足引(あしひき)の 山道(やまぢ)も知(し)らず 白橿(しらかし)の 枝(えだ)も撓(とをを)に 雪降(ゆきのふ)れれば【或云(あるはいふ)、枝(えだ)も撓撓(たわたわ)。】
 足曳勢險峻 山道亦不知所蹤 何以如此者 白橿之枝亦撓曲 雪降紛紛遂所以【或云、白橿枝亦曲撓撓。】
柿本人麻呂 2315
 右,柿本朝臣人麻呂之歌集出也。但,件一首,或本云:「三方沙彌作。」

2316 詠雪 【九首第一。】
 奈良山乃 峯尚霧合 宇倍志社 前垣之下乃 雪者不消家禮
 奈良山(ならやま)の 峰尚霧(みねなほき)らふ 宜(うべ)しこそ 籬下(まがきのもと)の 雪(ゆき)は消(け)ずけれ
 吾觀寧樂之 奈良山峰霧尚籠 理宜灼然矣 無怪籬下前垣許 積雪仍置未消熔
佚名 2316

2317 【承前,九首第二。】
 殊落者 袖副沾而 可通 將落雪之 空爾消二管
 殊降(ことふ)らば 袖(そで)さへ濡(ぬ)れて 通(とほ)るべく 降(ふ)らなむ雪(ゆき)の 空(そら)に消(け)につつ
 吾人有所嘆 既然天雪必零者 不若濡袖濕 當應豪降落雪者 飄渺消熔逝空中
佚名 2317