1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏による性加害問題は、企業にも衝撃を与えている。事務所が記者会見した7日には、今後の対応を協議する企業が相次いだ。タレントをCMに起用する企業には契約を見直す動きも出始めた。

 日本航空は7日、ジャニーズ事務所の所属タレントを広告に起用するのを当面見送る方針を決めた。広報担当者は期間について「再発防止策や被害者救済に関わる検討状況を注視し、適切な対応がとられるのを確認するまで」としている。

 同社によると、3月にジャニー喜多川氏の性加害問題が報道されたことを受け、所属タレントを起用した広告を取りやめていた。

 相葉雅紀さんをCMに起用している損保大手・東京海上日動火災保険は、ジャニーズ事務所に所属するタレントとの契約を今後更新しないことを決めた。多くの未成年の性被害を事実と認定した外部チームによる報告書が先月29日に公表されたことを受け、「人権尊重の観点で、いかなる形態のハラスメントも認めないと判断した」という。現在出演中のCMの契約解除も検討している。

 傘下のアサヒビールが岡田准一さんや生田斗真さんを、アサヒ飲料が櫻井翔さんなどを起用しているアサヒグループホールディングス(HD)。「調査によって明らかになった性加害の事実、およびジャニーズ事務所のこれまでの姿勢は誠に遺憾」としたうえで、7日には「再発防止策のすみやかな実行と被害者の救済をはじめとした迅速な解決に向け、真摯(しんし)な対応をのぞむ」とのコメントを出した。アサヒは先月、ジャニーズ事務所に、事態の改善を求める要望も伝えたという。今後の対応については、「公表された再発防止策の内容を精査したうえで、今後のタレント起用の是非について検討する」とした。

 ブランドアンバサダーとしてテレビCMに木村拓哉さんを起用する日産自動車は7日の会見後、「社内外に公表している弊社の『人権尊重に関する基本方針』に反する事案であり、非常に遺憾」とコメント。ジャニーズ事務所に対し、「(外部チームによる)提言内容を真摯に受け止め、スピード感をもってガバナンスの改善を進めてもらいたい」と求めていることを明らかにした。

 ソーセージのCMに二宮和也さんを起用している伊藤ハムも7日、「当社はいかなる性加害についても、これを容認するものではなく、本日のジャニーズ事務所による性加害の事実を認める内容の記者会見を受けて、大変遺憾に思っております。また、ジャニーズ事務所には、新しい体制の下で、この問題に真摯に取り組むことを強く望みます。当社として、ジャニーズ事務所タレントのCM起用について、今後の対応を考えてまいります」とコメントした。

 一方、櫻井翔さんをCMに起用しているアフラック生命保険は、事務所を介さなくてもタレントと直接契約を結べるようにするなど「多様性を持った契約の選択肢」をジャニーズ事務所に求めていることを明らかにした。

 会見をうけ、同社は「元所属タレントらへの性加害を事務所として初めて認めて謝罪したことや、被害救済と組織のガバナンス強化に取り組むことが表明されたことは前進」と評価。ただ、具体策が示されていないとして「今後の事務所の対応に重大な関心をもち、注視する」とした。再発防止策の方針などを見たうえで、取引を続けるかどうかを判断するという。(高橋豪、多鹿ちなみ、上地兼太郎、金子智彦、若井琢水)