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羽生結弦のプロ転向は「とても賢い選択だと思う」 ハビエル・フェルナンデスが“今、ユヅに伝えたい言葉”《独占インタビュー》

posted2022/07/23 11:04

田村明子
Akiko Tamura

photograph by
Sunao Noto/JMPA


7月19日、会見にてプロへの転向を表明した羽生結弦。トレーニングメイトとして長年にわたり羽生と過ごし、親交の深いハビエル・フェルナンデスが独占取材に応じた。よき仲間、そしてライバルでもあった彼は、“羽生の決断”をどう受け止めたのか――。(全2回の独占インタビュー2回目/前編からつづく)

フェルナンデスが羽生と出会った日
 フェルナンデスは10年前、初めてクリケットクラブで羽生に会った時のことをよく覚えているという。

「実を言えば、当時まだユヅのことをよく知らなかったんです。同じ大会に出ていても、話す機会はなかったので。彼もまだ英語をほとんど話すことができず、初めてリンクで顔を合わせてブライアン(・オーサー)が紹介してくれたと記憶しています」

 一緒にトレーニングを始めた時の第一印象はどうだったのか。


「試合では他の選手のことをそれほどじっくり観察できるわけではないけれど、同じリンクでトレーニングを始めたら『すごい才能だな』と思いました。スケーティングにスピードがあり、すごく良いジャンプを持っていると思ったんです」

 一方羽生は、フェルナンデスの4サルコウを参考にしていたと口にしたこともある。

「でも彼だってもう4サルコウを跳べていましたよ。当時はそこまでの安定度ではなかったけれど、技術はしっかり持っていました」

 そして少しずつ、二人は親しくなっていったのだという。


「たまにユヅが不調でイライラしているのに気が付くと…」
「シーズン中はやはり集中しているし、それぞれが試合で遠征していることも多いので、ゆっくり話をする機会があるのはサマーキャンプの時でした。彼は何度も、『ハビは上手い、特にジャンプがすごく上手い』と褒めてくれていました。僕は僕で、『ユヅこそ、ジャンプ上手いよ』と言うと、『いやいや』『ホントホント』などと、お互い褒め合っていましたね(笑)」

 ジャンプの不調に陥ると、先輩のフェルナンデスが励ますこともあったという。

「たまにユヅが不調でイライラしているのに気が付くと、『大丈夫だよ。さっきできてたじゃないか。きみにはできるんだから』と励ましたこともありました。話をするのは、やはりほとんどスケートのことでした」