1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 | 暖かくて冷たい(TB 日本語注意) 「っだいまー」 陽気な声を作って勢い良くドアを開けたら、迎えてくれるのは真っ暗で人気のない空気、虎徹は少しびっくりした。 誰もいないのは当たり前だったけど、今はそうじゃないだからだ。少なくとも、人の話を忠実に守るあいつがいるはず。 「おーい、クロー?」 片手でスイッチを押し、照明がチカチカしてから一瞬にして室内が明るくなった。 眩しさに目を細めて、虎徹はいるはずの”人物”を呼んだ。 ”クロ” 数日前に、虎徹が斉藤さんの所から引き取って来た、かつて自分達を苦しめて、虎徹に大怪我を負わせた、そのH-01であったアンドロイド。 引き取った、というのはズレがある。押し付けられた、の方が正確かもしれない。 ヒーローに復帰する可能性の有無を探るため、シュテルンビルトに戻った虎徹が真っ先に会いに行ったのはロイズではなくて斉藤さんだった。 多分、あの懐かしく思えてきた自分達のスーツに会いたいというのもあったからだろう。 行ってみたらまさか斉藤さんとすっかり仲良くなっている様子のベンさんとも会えて復帰の話があっという間に固まってしまったから、残りはほぼ冗談混じりのものだった。 そこで斉藤さんが ”よくぞ来てくれた!タイガー!君が来てくれなかったらこっちから行く所だった!”と相変わらずのハイテンションで見せたのが、虎徹自身にも驚くほど、自分にそっくりなアンドロイドだった。 さらに驚くことに、それがあのH-01を使って改良したものだと告ぐられた。 ”元々タイガーをモデルに作られたものだったからな!君のデータも揃えてるからそのまま君と同じように改造した!どうだ!似てるだろう!?” 似てるも何も、体格まで鏡を見ているようじゃねぇか、と呆然した虎徹に、興奮が収まらない斉藤さんが続けてこう言った ”人工智能もある!バーナビーの両親は本当に素晴らしい!ロトワングは勿体無いことをやっていたな!” バーナビー、という単語に虎徹は一瞬凍結した。 ”どうだ!タイガー、こいつの教育を君に頼みたい!” ”え?俺か?” ”そう!最初はバーナビーに頼もうと思ったが、彼はしばらくシュテルンビルトを離れるって、タイガーの方が適任だってな、そりゃそうだと俺も思ったから!どうだ、受け取ってくれるよな!” ”バニー、が?離れるってどういうこと?” ”タイガーは知らないのか?どうも旅に出るって言ったな!それよりどうだこいつの教育係になってくれるよな!” ずっと世話になっていてこれからも世話になるだろうという斉藤さんの頼みに強く出られない虎徹はえーでもーと口を篭ったが、ヒーロー復帰の協力の代わりになとまで言われて、虎徹は仕方なくH-01を引き取った始末だ。 さすがにH-01と呼ぶのは滅入りなので、人工皮膚の色が自分のより深いことで”クロ”という名前に変えてもらった。 ”犬じゃないんだから!”と軽く不満がられたが。 それは犬じゃないが、、、、、、 ようやくはっきりものが見えるようになった室内を見渡せば、違う色だが同じデザインの服装を着ている”人”がソファの傍らに座り込んでいるのが見えた。 朝、虎徹が出掛ける時とまったく同じ姿勢で。 「クロ?」 返事がないことに不審がり、虎徹が再度呼んでみた。 そうしたらやや下向きになっているクロが僅かに動き、その赤い目にパッチと光が走り、ゆっくりとクロは立ち上がった。 「はい、マスター」 「お前大丈夫か、何で休眠モードになってたの?」 「大丈夫です、大人しく待つなら休眠が省エネになりますので。」 「っおまえな、、、最初会った時も言ったな、確か。」 「はい?」 確かに自分は出掛ける時に”大人しく留守番して待ってろ”とは言ったが、これじゃまるで躾けの良すぎる大型犬みたいじゃねぇか。 そして自分は不注意で丸一日”待て”させてしまっただめ飼い主だなと、無表情のまま虎徹の返事を待っているクロを見て虎徹は心の中でため息をついた。 「っいや、だから、俺のこと、コテツっていいって言ったろ?そんで敬語もいらねぇな!」 「斉藤博士はこれからコテツがマスターと言いました」 「今コテツって言えたじゃん、マスターが俺だったら俺はコテツって良いって!」 「マスターとしての変更命令ですか」 「え、ああ」 「では変更を開始します、パスワードをお願いします」 「え!?そんなの俺知らねぇよ!」 「お願いします」 「ああ??斉藤さ、クロ待てよ!ヒント、せめてヒントを!」 急な問いに焦った虎徹は慌てて携帯を取り出して斉藤さんに聞こうとしたが、クロの目が点滅し始まりすっかり変更モードに入ってしまっている。 虎徹は昔からパソコンとかに苦手で一度固まった画面を自力で直せたことない程だった。 「いつもバニーがやってくれたな、、、」 思わずこう呟いたら、クロがそれに反応したように続けて言った。 「Bunny、パスワード確認済み、変更を続行します」 「ふぇ?何で?」 パスワードがバニーってこと? 虎徹が訳分からなくなった。 ほんの数十秒程でクロの目がいつも通りに戻り、どうやら変更は終わったらしい。 「変更終了。これでいいのか、コテ、ツ?」 「っおー」 やっぱりこいつはアンドロイドだな。 自分の希望とはいえ、何回注意しても変えてくれないのに、変更できたというだけで口調が自分並みに荒くなったクロに、虎徹は改めて認識した。 「そうか、じゃ俺はこれからどうすればいい」 「どうするって、そりゃクロの好きなようにっ」 テレビ見るなり、お酒飲むなり何でもいいじゃないと言い掛けたがやめた。 テレビはともかく、飲食はこいつに無理がある。水しか飲ませるなと斉藤さんにも言われた。 じゃどう答えればいいんだ? 虎徹があーうーと一生懸命考え始めた。 クロはそんな虎徹を見て、何か考え付いたように虎徹の前に移動した。 「っあ、ちょっと待て、考えさせろ!」 「――なら、シャワー?食事?それとも、俺?」 「ああああ???」 「違ったのか」 「当ったり前だ!誰よお前にそんな言葉教えたのは!」 自分の声でこんなエロビデオに出る人妻みたいな発言が聞けるとは思ってもしなかった。 「ベンさん」 「ベンさん?俺の顔に向けてよく教えたな、、、」 「いいや、ベンさんが見てたビデオに出たから」 「プー、お前が一緒に見てたの?そりゃ災難だな!ベンさんも!」 「災難?」 「あ、いや何でも、って、お前はベンさんとこにも行ってたの?」 「ああ、一日で邪魔って言われた」 「っはは、だろうな!そんで俺に回された訳か」 「ああ。」 しばらく他愛のない会話を続けた。面白くて可笑しくて、虎徹はゲラゲラ笑っていた。 笑って笑って、笑うほどに目の前のクロを直視することができなくなっていく。 いくら虎徹が笑っても無表情のままでいるクロ、それはまるで鏡に映るもう一人の虎徹。 何で笑う?本当は楽しくなんかないのに。本当はこんなのじゃなくて、もっと聞きたいことがあるのに。 機械相手にまで何を怖がる? まっすぐに射してくるクロの目線に虎徹は思わず目を逸らした。 「コテツ?」 「、、、何でもねぇよ、、、」 一旦考えてしまったことは自分でも簡単に抹殺できない。平穏な水面にぽつぽつと泡が浮かんでくるように、止まらない。 「な、クロ--」 TBC 應該是不會補完了,因為我不記得後面要寫啥了(噴 無恥的補檔鹹魚就是指我!!!(毆 |
Direct link: https://paste.plurk.com/show/Yatdj7mSMFyoc4XLzlGd