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4344 【承前,十首第八。】
 和須良牟弖 努由伎夜麻由伎 和例久禮等 和我知知波波波 和須例勢努加毛
 忘(わす)らむて 野行山行(のゆきやまゆ)き 我來(われく)れど 我(わ)が父母(ちちはは)は 忘(わす)れせぬかも
 冀能忘憂情 雖然翻山復越嶺 銜命而來此 然而嚴父與慈母 依然懸心不能忘
商長首麻呂 4344
 右一首,商長首麻呂。


4345 【承前,十首第九。】
 和伎米故等 不多利和我見之 宇知江須流 須流河乃禰良波 苦不志久米阿流可
 我妹子(わぎめこ)と 二人我(ふたりわ)が見(み)し 打寄(うちえ)する 駿河嶺(するがのね)らは 戀(くふ)しくめ有(ある)か
 嘗與吾妹妻 相依相偎共遠眺 打寄緣來兮 壯麗巍峨駿河嶺 令人偲戀慕幾許
春日部麻呂 4345
 右一首,春日部麻呂。


4346 【承前,十首第十。】
 知知波波我 可之良加伎奈弖 佐久安例天 伊比之氣等婆是 和須禮加禰豆流
 父母(ちちはは)が 頭搔撫(かしらかきな)で 幸有(さくあ)れて 言(い)ひし言葉(けとば)ぜ 忘兼(わすれか)ねつる
 嚴父與慈母 搔撫吾首以餞別 無恙有幸矣 所以惠賜祈言者 仍懸心頭甚難忘
丈部稻麻呂 4346
 右一首,丈部稻麻呂。
 二月七日,駿河國防人部領使守從五位下布勢朝臣人主,實進九日,歌數廿首。但拙劣歌者不取載之。