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3614 【承前,百卌五卅七。泊長井浦夜作歌。】
 可敝流散爾 伊母爾見勢武爾 和多都美乃 於伎都白玉 比利比弖由賀奈
 歸(かへ)る際(さ)に 妹(いも)に見(み)せむに 大海原(わたつみ)の 沖白玉(おきつしらたま) 拾(ひり)ひて行(ゆ)かな
 將赴歸途時 為使吾妻令見者 滄溟大海原 瀛津剔透白玉矣 徃之拾而以返哉
遣新羅使 3614



3615 風速浦舶泊之夜作歌二首 【承前,百卌五卅八。泊風速浦作歌。】
 和我由惠仁 妹奈氣久良之 風早能 宇良能於伎敝爾 奇里多奈妣家利
 我(わ)が故(ゆゑ)に 妹嘆(いもなげ)くらし 風速(かざはや)の 浦沖邊(うらのおきへ)に 霧棚引(きりたなび)けり
 蓋是吾愛妻 為我之故嘆息哉 疾風吹拂之 蕭瑟浦迴沖邊間 唏噓愁霧湧霏霺
遣新羅使 3615



3616 【承前,百卌五卅九。泊風速浦作歌。】
 於伎都加是 伊多久布伎勢波 和伎毛故我 奈氣伎能奇里爾 安可麻之母能乎
 沖風(おきつかぜ) 甚吹為(いたくふきせ)ば 我妹子(わぎもこ)が 嘆(なげ)きの霧(きり)に 飽(あ)か益物(ましもの)を
 若此浦沖風 得以狂拂勁吹者 吾當可置身 親愛吾妻所嘆息 唏噓愁霧間矣哉
遣新羅使 3616